ファミリーセラピストの私が「断捨離」にハマってしまった理由

“断捨離”と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?うちの中を片づけて、すっきりさせる…とか、ミニマリストの様になる…などのイメージが浮かばれるかもしれません。私も50代となり、家の中をすっきりさせたいな、という軽い気持ちがきっかけでこの番組をフォローし始め、今ではすっかりハマってしまいました。VPNを始めたのが1年半くらい前なので、近年のことです。

ところが”断捨離”提唱者のやましたひでこさんが実際に出演されるこの番組では、ただ単にモノを片づけてすっきりさせる、というレベルではなく、依頼者さんの考えやこれからの人生設計までも変えてしまう力がありました。

私はファミリーセラピストなので、「変化を生み出す」ということについて、もちろん大きな興味を持っていますし、さまざまな方法があると思っています。ファミリーセラピスト界では、断捨離を通しての確立されたアプローチはありませんが、「何かを始めることで、自分が欲しかった変化が結果としてついてくる」という現象に対しては、その通り、とうなづけます。(それは、このブログページでもある通り、「原因」を突きとめるアプローチではなく 「どうしたら」に焦点をあてた現在・未来をフォーカスするアプローチだからです。)

https://tver.jp/episodes/epy6usmbcw

先日のエピソード(前半・後半)では、ある女性の家族の物語でもありました。この女性は二人の娘さんを立派に育て上げ、学費などが十分なように 身を粉にして仕事をされて来たそうです。結果、家の中が荒れてしまいご主人ともこの件でケンカが多かったとか。2年前にご主人が突然家を出ていかれ、また長女さんもそのストレスで音信普通になってしまった…というお話でした。実際に番組に申し込んだのは、次女さんで、実はこの女性ご自身は最初は断捨離にも興味もなく、何の変化も望んでいませんでした。

このケースは、ファミリーセラピストにとっても難題だと思いました。それは、何かが変化するには当事者の方の変化したいというモティベーションが不可欠だからです。実際に、次女さんがお母さまと一緒に片付けに取り掛かるわけですが、本当に次女さんの、お母さんに対する感謝と愛情があってできた作業だと思います。番組では、実際にご主人や長女さんが帰ってくる…というような大きな結果は起こりませんでしたが、この女性が断捨離を始めて 住環境が変わることで、ご自分を労わり、大切に扱う…というモティベーションを手に入れることができました。ご主人や長女さんが戻って来なくても、このモティベーションはこれからの未来に向けて幸せに生きていけるベースになったと思います。

やましたさんの番組中の言葉には、私も「うん、うん」とうなずけることがたくさんあります。その一つには、断捨離中のケンカ。「ヘドロの上澄みは綺麗だけれど、そのヘドロを取り除こうと思ったら、したのどろどろもかき回される…でも、取り除くにはそれは不可欠」というものです。何を捨てて、何を取っておく…異なる価値観のぶつかり合いとなります。ケンカを恐れる方が多く、ヘドロがかき回されない…その結果、ヘドロは蓄積される一方になっていく…。こういったケンカの中で、本音が初めて家族に語られたり、家族の距離が縮まって行ったり…というのもこのエピソードを含め、他のエピソードでも垣間見えました。

「ヘドロをかき回す」のは勇気がいるけれど、それを乗り越えた先には、以前とは違う新しい空気が流れ始めます。

私も日々利用者さんと向き合っていますが、「どうしてこうなっちゃったんだろう?」と原因を探し続けるより、「これからどう過ごしたいかな?」と未来に目を向けたほうが、心はずっと軽くなります。(実は本業の方では、精神的な問題でお片付けやごみ捨てができない利用者さんが複数おり、ごみが溜まる住環境が精神衛生を悪化させるという悪循環になっているケースが多いのです。この場合は居住支援者の立場上、強制的にゴミは捨てさせてもらうしかないのですが…。)

今回のエピソードのお母さんも、最初は乗り気じゃなかったけれど、次女さんの愛に支えられて動いたことで、「自分を大切にする」という一番大切な感覚を取り戻されました。家族が戻ってくるかどうか、という結果ももちろん大事かもしれません。でも、何よりも「私は私で、自分を心地よくさせてあげていいんだ」と思えるベースができたこと。これこそが、幸せへの一番の近道なんじゃないかな、と感じています。

断捨離って、本当にただの片付けじゃないんですね。
今の自分、そしてこれからの未来を「素敵」にしていくための、第一歩のようなもの。皆さんも、まずは引き出し一つから、自分の未来のために「よし!」と始めてみませんか?

この記事を書いた人
may.juni

いがらしまゆみ。北海道出身。95年個人留学でノルウェーへ。貧乏学生時代を経て、現地で就職・結婚。国際結婚カップルが持つ様々な問題・チャレンジに遭遇し、2018年にファミリーセラピー修士課程卒業。現在、オスロ市で発達障害・精神疾患のユース世代の支援を本業とする傍ら、ハンブルネスは副業として従事。ノルウェー人夫とオスロ近郊で二人暮らし。

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