PREP(プレップ:夫婦関係改善と問題予防のプログラム)その3・相手を見下す言動

ストレスが溜まっていたり、疲れている時に「ついつい」当たってしまうのは一番身近なパートナーや配偶者の方ということは結構あるかもしれませんね。そんな時に嫌味のようにすごくネガティブなことを相手に言ってしまって、しまった!となる事もあるかもしれません。私もご多分にもれず…。言ってしまってから「余計なこと言っちゃった…」と、反省することもしばしば。

今回はPREP(プレップ)、Prevention and Relationship Enhancement Program、直訳すると「カップルの関係における問題予防と関係強化プログラム」からお伝えする続編です。PREPでは、無意識に繰り返されるネガティブなコミュニケーションのパターンを「4つの危険信号」と呼んでいます。これらの危険信号はとても身近なもので、誰でも経験があったり身に覚えがあるものばかりです。ただ、危険信号はほおっておくと、長期的にカップル存続の危機にもなりかねないといったもので、手遅れになる前にそこに気付き、解決方法を試していくことをPREPでは提唱しています。

今日は危険信号の二つ目、「相手を見下す言動」についてお話したいと思います。PREP全体については以前の記事でご紹介していますので、こちらのリンクからどうぞ。

イントロ:対立やケンカ自体は悪い事ではない

どんな人間関係でも対立やケンカはつきものですよね。逆にケンカしてフラストレーションを発散したり、相手にストレートに自分の気持ちなどを伝えられた、わかってもらえた、という経験が自分と相手をより親密な関係に導くこともある…というのを皆さんの中で感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

PREPが言う4つの危険信号とはこうした類のものではなく、無意識のうちに繰り返され、そのたびに関係が壊されていくものです。なんだかコミュニケーションが上手くいっていない…と、漠然と感じられている方がいらっしゃったら、もしかしてパターン化してしまい 普段は気が付かないうちに繰り返されている危険信号が裏に潜んでいるかも知れませんね。

 

相手を見下す言動のいろいろ

見下す、という行為は相手の価値を縮小すること。パートナーの考え、気持ち、立ち振る舞い、パーソナリティを言ってみたら馬鹿にすることです。あからさまな場合と、そうでなく、暗に言われる場合があります。例えば、「なんでこんなこともできないの?」(あからさま、はっきりした場合)とか、「次はもっとうまく行くんじゃない?」(励ましているようで実は見下しがカモフラージュされている場合)など。

他の例としては、パートナーが認めてほしい、褒めてほしい、と思っている分野で相手の頑張りを全く無視したり、粗さがしをしている場合です。

また、他人の面前でパートナーをけなすような内容を冗談ぽく話す時も相手を見下している言動とみなされます。けなされた本人は冗談が分からない人と思われたくないため、言われたことに腹を立てられない状況に追い込まれてしまいます。

 

PREPが推奨する解決方法とは

この章を読んでいた時の自分のリアクションは、「それ、自分もけっこう言ってるかも」でした。うちの場合は主人がボケで私がツッコミを入れるようなコミュニケーションが多いなあ、と思います。それでも主人本人は気にせずに一緒に笑っているのですが、私自身もかなりきわどいツッコミを入れるので、時々大丈夫か本人に確認を入れなければ…と再認識しました。

PREPがここで「対策」として挙げているのは、相手の言動によって傷ついた方がその旨をオープンに伝えるというのもです。そして、当時を一緒に振り返ってみること。相手の言動の何のどこが見下すように感じられて傷ついてしまったかを正直に話してみましょう。

一方、言っている方ですが、無意識だったり正当化する理由があって言っていることがほとんどだと思います。もしくは、ちょっと言いすぎたかも…と良心がチクチクした時に相手にどうだったか確認するのも一つの手立てではないかと思います。

 

対立状態が長引いている裏には

PREPはまた、最後にこう問いかけています。対立状態が続いているカップルが居るとして、その裏には相手にリスペクトされていない、理解されていない、認めてもらえていない…という心の奥底にある感情が隠れていないか、です。自分が相手から見てもらえないと感じるとき、おのずと「私がこんなにひどい思いをしているから、あなたにも同じ思いをしてもらう」といった感情が働く…というのです。だとすると、相手を見下す言動についても自分の中で正当化してしまうのではないでしょうか。

もし、これが真逆だったら… 相手から気にかけてもらえ、リスペクトされ、理解されていると日々感じられたら、相手にも同じものをあげたいと思いますよね。そうなるように、勇気を出してお互いの日々のコミュニケーションを振り返ってみる一歩を踏んでみては…というのがPREPの提案です。

 

まとめ

今回のテーマ、相手を賞賛する言動…ではなく、見下す言動。相手に文句を言ったりするのはよくあることだし、無意識に言ってることが多いということで、なかなか正直に振り返るのが難しい事のように私も感じました。

私自身も夫と私の日々のコミュニケーションがどうなっているか、改めて見てみることができた気がします。うちはもともと夫の方が人間ができているし、大人だわ…と普段はかなり開き直って 自分はわがままをたくさん言っているような節もあり…。いや、それじゃやっぱりいかんですよね。せっかく一緒に暮らしているのに、嬉しく楽しい人生をなるべくなら送りたいですよね。

と、言うわけで、反省の意味も込めお伝えしてみました。皆さんはどう考え、感じられたでしょうか。ちなみに、PREPの危険信号はあと2つあるのです。次回は、第3の危険信号、「否定的な解釈」をご紹介したいと思います。

今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました!
(記事の内容は2022年8月に掲載した Hatena Blogのものを改訂しなおしたものです。)

 

この記事を書いた人
may.juni

いがらしまゆみ。北海道出身。95年ノルウェーへ個人留学。貧乏学生時代を経て、現地で就職・結婚。20年以上のキャリアを持つ、ノルウェー公認ソーシャルワーカー。現在ノルウェー人夫とオスロ近郊で二人暮らし。日本人xノルウェー人カップルが持つ様々な問題・チャレンジに遭遇し、2018年にファミリーセラピーの修士課程卒業。現在、オスロ市で精神障害・精神疾患のユース世代の支援を本業とし、カウンセリングルーム・ハンブルネスは副業として従事。

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